• 楽農人3:服部康政さん

  • はっとり やすまさ
  • 服部 康政さん
  • はっとりさんちのいちごばたけ(喜多郡内子町)
    1976年生まれ
  • 提供品目
  • 甘雫姫・さちのか・桃薫など

 「酸味が低くて甘いんです。10月中ごろから6月まで休みなく量が採れるところもいい。」独立後から手がけているお気に入りの品種「甘雫姫(かんなひめ)」を評する服部さん。もともとは専門学校でパソコンスキルや簿記を教える先生でしたが、奥さんのお父さんの経営する農業法人(観光農園)で10種類以上の苺栽培を経験したのち独立しました。「経営や販売について広く知識があるということは、農業をやる上でとても役に立ちました。」

「甘雫姫(かんなひめ)」は旺盛で回転が速いため、連続して採れることに加えて、10月からの出荷が可能なためスーパーのバイヤーからの評価が高いといいます。「もう苺があるの?!という、売り場の驚きを演出できるから。どこへ持っていっても売り場が華やかになると喜ばれますね。」それだけでなく、酸が低い割りに完熟しても棚もちがよく、売りやすいという側面もあります。「果皮がしっかりしていてツヤもいいので、商品としては理想的じゃないですかね。」直接口にするものだけに、重曹を使った殺菌などで細やかな栽培を心がけていたり、圧倒的にボリュームを占める「収穫作業」の効率化に特化した高設の設定をするなど、経営者として何を重視するべきかという基準が明確です。

苺をメインにした理由は観光農園でのお客様の声から。「観光農園の苺は食べるけど、スーパーで売っているのは美味しくないから買わない。」と言われて奮起。「手間とコストをかければ美味しい苺を作る自信はありました。1パック1000円というわけには行かないけど、例えば2割増し程度でお客さんに手にとってもらえるものなら、十分やれると思いました。」昨年は新たにハウスを建立し、まさに「マイナスからのスタート」という服部さん。それでも様々な問題に自分の考えで対処できる仕事はやりがいに満ちていると言います。「愛媛はいちご農家が少ないし、全国的に勝負しにくい。夢を持って取り組んでも離職せざるをえない若者も少なくないんです。10年後、僕は借金を払い終えて、楽しく儲けて農業をやってるイメージがあります。そのためには規模をあまり広げすぎず、事業の中身を充実させたいと思っています。忙しいことと儲けることは表裏。そこが「楽しい」と若い子達に伝えられる存在になりたいですね。」